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藤本と燐、なぜか藤本さんが生きているパラレルなお話;
朝5時まで書き続けていたせいか眠さでよくわからない話になってしまいました。
長い。











602号室、ろくな設備の整っていないその部屋は陰になっている分、
外にいる時より寒く感じる。


手が冷たい・・・・・。


見ると手の先が少し白くなっていた。
それでも燐は一目しただけでまた手の先を動かし続ける作業に没頭する。
長い2本の編み棒をぎこちない動きで動かし、黒い毛糸を編みこむ。
足元には『初心者でも安心・かわいい編み物』というタイトルの書かれた本。


(何が初心者向けだよっ・・・ぜんっぜん簡単じゃねぇよ)


一人心の中で愚痴る。
クリスマスのプレゼント用に少し気が向いて軽い気持ちで始めた編み物。
しかし、きっと病院の中は寒いだろうと思って作り始めたマフラーは
てんでばらばらな網目に横の長さが不揃いというできそこないだった。


(これじゃじじぃに笑われるじゃねぇか・・・)


獅朗の人を馬鹿にしたような顔が頭に浮かぶ。
『なんだ、おめぇ・・・俺のためにこれを作ってくれたのか?』なんて、
こんなマフラーを渡したら絶対にやにやしながらからかってくるに違いない!


想像の中のセリフだけだというのに恥ずかしさで顔が真っ赤になって部屋の寒さも忘れてしまう。


「ふ、ふしゅ~ぅ・・・・。」


恥ずかしい。
思わず手を止めて顔を膝にうずめる。
顔や体からちょっぴり炎が上がって毛布の端から焦げ臭いにおいがした。


ぽすんっ


体を横にしてベッドに寝転がると壁に掛けてある制服と、獅朗からもらった刀が見える。


「・・・・・。」


思い返せば燐はこの春、獅朗にその命を救われて以来一度も獅朗とあってはいなかった。
重症をおった獅朗が病院で目を覚ましたと聞いた時は雪男と一緒にすごく喜んだけれども、



(今の俺を見たらじじいはどう思うだろう・・・・・?)



とがった耳に黒い尻尾。
―――まるで悪魔のよう


知らず知らずに手から力が抜ける。
急速に熱が冷えて目の前の毛糸の塊がただの糸くずに見えた。


「やっぱ・・・やめとこ。」


あれだけ頑張ってあともう少しで完成だったマフラーを、


かたんっ


あっさりとゴミ箱へ捨ててしまった。



§  §  §  §  §

クリスマスの日、
結局燐は獅朗に何も送らないことに決めた。


(今さら・・・)


さんざんひどいことを言って、挙句に俺のせいで死にかけた。
獅朗は燐の顔も見たくないかもしれない。


だから暫くの間は獅朗と関わらないでいることに決めた。



「ただいま!相変わらずこの部屋さっぶいなぁ~。暖房とかねぇのかよ。」
「おかえり兄さん。暖房ならそこ、兄さんがいるだろ。」
「俺が暖房かよ!?」
「そうそう、だから頑張って部屋をあっためてね。もちろん燃やしたらお仕置きじゃ済まさないけど。」
「痛くないのにしてくれ。」
「燃やすこと決定!?」


雪男と軽い冗談を交わして燐は自室に向かう。
鞄をおいてから、


(ん?)


何かがおかしいことに気づく。


「ゆきおー!俺のゴミ箱あさったかー?」
「兄さんじゃないしそんなことしてないよ。」


笑いながら雪男が返す。


「えっ・・・俺って日常的にゴミあさってるイメージあるのか?」


弟の言葉に地味に傷ついた。


「クロは?」
『しらな~い。』


クロが嘘をつくとも思えないし、いったいどういうことだろう?


「わけわからん。」


ベッドに座りこむと、むにゅっとした感覚がした。


「!?」
「自分から飛び込んでくるとは・・・奥村君は大胆ですね。」
「メ、メフィストぉ!?」


逃げられないようにすでに腰元をホールドされている。
くそっ、かくなるうえは!


「ゆきおぉぉぉ!!助けて!へんたいがっ・・・!!」
「少~し黙りましょう。」
「ふがが!」


我が家の魔王、雪男に助けを求めようとしたがすぐに口を塞がれた。


このままだと聖なるクリスマスが性なるクリスマスに!?
恐ろしい予感に背筋に悪寒が走る。


「いえ、今回はそんな展開にはしませんから。」


燐の心情を読んでメフィストがこたえる。


「ふががっが~(じゃあ何すんだよ?)」
「何も?それよりマフラーの行方、気になりませんか?」
「?」
「あのマフラー・・・・藤本におくっちゃいました。」
「ふがぁぁぁぁぁ!?(うそぉぉぉ!?)」


テヘッ☆
笑うメフィストのあごに頭突きを喰らわせて燐は立ちあがる。


(どどどどうしよっ・・・俺、じじいに嫌われる!)


「そりゃぁ!」


ぱりーん!
考えるより即行動。
燐は白目をむいて倒れたメフィストを置いて大胆に窓から飛び出した。


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2010.12.26 Sun l 青の・小話 l コメント (0) l top

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