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アーサー×燐という珍しい組み合わせで、天使と悪魔なパロ。
甘いです。


ハロウィンの日、それは人間界と魔界・天界の境目が曖昧になる特別な日。



人間界じゃあお菓子をくれだの何だの、ずいぶんと浮かれる日だそうだが
生憎天界では魔界のずるがしこい悪魔たちが侵入してこないよう天使たちは
境目の警備に当たらなければならない大忙しな日だった。



「ふっふっふ・・・魔界の悪魔なんぞ私が全て葬り去ってくれるわ!!」
見習い天使であるアーサーは初めて手にした武器を握りしめ神経を高ぶらせていた。
警備を任されたのは境目とは程遠い森の中。
はっきり言って人の子一人見当たらないがアーサーは無駄なまでに自尊心が高く、
必ず自分が悪魔を倒すのだと信じていた。




純白の翼をはためかせ、森の上空を駆け抜ける。




長いこと上空を飛んでいると、あれはなんだ?
森の中に青い色の何かがちらついた。

不審に思ったアーサーが地上に降りて目にしたのは・・・・――



―――可愛らしい



それは今まで目にしたことのないほど、可愛らしい生き物だった。

アーサーよりもずっと幼い子供の髪は天界では珍しい黒髪で、ふわふわとして触り心地がよさそう。
そのぷにっとした頬はほんのり朱色が入ってて可愛らしさを増していた。




そして、何よりもアーサーを惹きつけたのはその強気な瞳だった。




大きなくりっとした瞳は青みがかかり、その奥には青とは相反する紅く、血のような色が息づいていた。
光の角度によって幾重にも色を変化させる瞳にアーサーは魅入られた。

すごく静かで、まるでこの場にいる二人だけ世界から切り離されたかのよう。




このままずっと・・・――




先に静寂を破ったのは目の前の子どもだった。
「おい、兄ちゃんは天使か?」
何を不思議なことを、どこからどう見ても私は天使だろうに。
いきなりの質問にアーサーは戸惑う。


アーサーが首を縦に振ると子供は満足したようににこりと笑う。
トクリと、心臓が跳ねた。


「それなら、さ・・・・」
「あっ・・・おい・・何をっ――!!」


子供がアーサーの首筋に抱きついてくる。
い、いいいいきなり積極的すぎるだろ!! 
展開に着いてゆけないアーサーは赤面して硬直する。


「トリック・オア・トリート(お菓子くれないならいたずらするよ?)」


子供特有の高い声が鼓膜を震わせる。
お日様の匂いに混じって甘いにおいがアーサーの鼻をくすぐった。


どう?くれるの、くれないの?


子供がアーサーの顔を覗き込む。
「あ、えっ、今は任務中だから・・・あ、ああ甘いものなど!!」


普段の流暢な口調もいざという時は役立たず、どもってばかりだ。
肝心な時にどうして私はうまくしゃべれないのだ!


誰かの瞳を見てドキドキするのも、抱きつかれて嬉しくなるのも全部初めてのことで、
アーサーは恥ずかしさのあまり涙が出そうになっていた。



アーサーがお菓子を持っていないとわかった子供はとたん、にやりと笑う。
あ、こういう顔も悪くないかも(アーサーM疑惑)
再びアーサーが子供の顔に見とれていると、


ぶちっ!!

「いったぁぁぁぁぁ!!」
「天使の羽根ゲットォ~!!」
「何をする!」

あろうことかアーサーは子供に羽を一本抜き取られてしまった。
「私の美しい翼が間抜けなことに!!よくもやってくれたな!!」
アーサーが腹を立てて睨んでも子供は知らぬふり。



そしていきなりドロンと煙が上がり、子供の後ろから真黒な羽と黒くて長い尻尾が生えた。
「あ、悪魔だと!?」
アーサーは驚いて腰を抜かす。可愛いと思っていた子がまさかの宿敵だなんて。
それを見て子供は楽しそうに笑った。



――天使って言っても案外普通の反応をするんだな。



実はこのハロウィンの時期は魔界の子供たちにとっては肝試しの時期でもあって、
天界もしくは人間界に行ってそこに行った証を持ち帰って度胸試しをするのが毎年のこと。
哀れなことに、たまたまこの子供、燐の目の前に現れたアーサーは羽を抜き取られたというわけだ。


とはいえ、さすがに羽を抜いたのはまずかったか?


見るとアーサーはカンカンに怒っている。好きな子に裏切られたと思っているせいだ。
何か代わりにあげられるものでもないかと、燐は体を見渡す、そして、


「代わりに俺の尻尾の毛、少しやるから許せよ。」
「貴様!その意味がわかっているのか!?」
「は?いいからやるって。」


アーサーの言葉に燐はキョトンと頭を傾げる。
燐は知らなかったが、天界では互いの身体の一部を(特に羽など)交換するのは恋人同士がすることだった。
可愛いと思っていた子に告白まがいのことをされ、さっきまで怒っていたことも忘れてアーサーの心は舞い上がった。


「じゃ、俺、もう魔界に帰るから。」
長居は無用、燐は子供しか通れないような小さな空間の綻びから魔界に帰ろうとする。


「待て!!」
その後ろ姿を急いでアーサーが引き留める。
真っ赤な顔には確かな決意。
燐が何者だろうと構わない、傍にいたいという願い。
燐に帰って欲しくないという言葉を飲み込みアーサーは声を上げる。



「俺は、必ずお前にまた会いに行く!だから名前を教えろ!!」
「・・・・燐、いい名前だろ?」
「燐、か・・・いい名前だ!俺の名前はアーサー!!将来お前の傍にいる男の名前だ!忘れるなよ!」

その言葉を最後に二人は別れた。








そして、それから10年後の出来事。


「燐!!未来の夫が迎えに来たぞ!!」
「ぎゃぁぁぁ!!またストーカーが来た!!なんで俺の仕事の邪魔ばかりすんだよ!お前なんて大嫌いだ!!」
「それでも私はお前のことが大好きだ!お前以外の者などミジンコ以下にしか感じない!」
「狂ってる!!お前怖いよ!」
「それも全て愛ゆえに!」


人の魂を取るため人間界に来た燐に、大天使にまで上り詰めたアーサーは求婚し続けるようになった。


「契約?そんなちんけな人間の魂を取るより私と食事にでも行かないか?そのあとはもちろん高級なホテルも用意している。」
「いかねえよ!」
「そのようなことを言って本当は照れているのだろう?私にはわかる。」
「駄目だこいつ何もわかってねえ!」
「仕方ない子猫ちゃんだ。私が抱えて連れて行こう。」
「いやぁぁぁ!!誘拐!犯されるぅぅぅ!!」
「はっきり言われると照れるな。」
「雪男でも何でもいいから誰か助けてくれぇぇぇ~・・・・――!!」


燐の悲鳴が木霊する。







たとえ相手が悪魔だろうと関係ない、
一目見たときから恋に堕とされた。

甘くて、苦くて、切ないそれは10年もの間アーサーを苦しめた、
それでも、燐のことを考えている時はとても幸せで。

再会した時、思わず抱きしめるぐらい嬉しかった。

「燐・・・・――」
「なんだよ。」

見上げる瞳は昔と変わらず綺麗で、

もう手放したくなかった。


「そういえば・・・今日はハロウィンの日だったな。」
「だったらなんだよ。」
「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないなら、いたずらしよう)」
「もう悪戯でも何でもすればいいだろうが!俺は逃げない!!」
「じゃあ・・・・――お前の体の一部をもらう。」
「・・・――っ!」

燐も子供のころとは違う、そのことの意味がわかるぐらいには成長していた。
果たしてその返事は・・・・・・・――

「・・・・――っ!!」
「これ以上やったら尻尾がはげるだろ、ばーか!!」


軽い、唇と唇が触れあうだけのキス。
それが燐の返事だった。


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2010.10.28 Thu l 青の・小話 l コメント (0) l top

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